やみとものプログラミング日記 やみとものプログラミング日記
TOP 二項分布の期待値の求め方
二項分布の期待値の求め方

二項分布の期待値の求め方

数学 確率 統計 大学数学
作成日時: 2020年12月1日
更新日時: 2020年12月1日
こんにちは、やみともです。
最近は確率論を勉強しています。
この記事では、次の動画で学んだ二項分布の期待値の求め方を解説したいと思います。

(この記事の内容は動画では43:40あたりからの内容です)



間違いなどがあればTwitterで教えていただけると幸いです。

二項分布

表が出る確率がp、裏が出る確率が(1-p)のコインをn回投げた時、表がi回出る確率をP{X=i}と表したとき、この確率は二項分布になります。
P{X=i}は具体的には以下のように計算できます。
$$ P\{X=i\} = \binom{ n }{ i } p^i(1-p)^{n-i} $$

二項分布の期待値

二項分布の期待値は期待値の線形性を使えば簡単に求められるのですが、ここでは動画に沿って線形性を使わずに計算してみたいと思います。
\[
E(X) \\
= \displaystyle \sum_{i=0}^n iP\{X=i\} \\
= \displaystyle \sum_{i=1}^n i\binom{ n }{ i } p^i(1-p)^{n-i}
\]
ここでΣを1からに変更したのは、i=0のとき$ iP\{X=i\} $の部分は0になるからです。
\[
= \displaystyle \sum_{i=1}^n i\frac{n!}{i!(n-i)!} p^i(1-p)^{n-i} \\
= \displaystyle np\sum_{i=1}^n \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!} p^{i-1}(1-p)^{n-i}
\]
iを1つキャンセルし、nとpを1つずつシグマの前に出しました。
するとこうなります。

\[
= np\{p+(1-p)\}^{n-1} \\
= np
\]

これで求まりましたが、
$$ \sum_{i=1}^n \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!} p^{i-1}(1-p)^{n-i} = \{p+(1-p)\}^{n-1} $$
を証明します。

証明

まず二項定理より
$$ (x + y)^n = \sum_{i=0}^n \binom{ n }{ i }x^{n-i}y^i $$
nをn-1に置き換えます。
$$ (x + y)^{n-1} = \sum_{i=0}^{n-1} \binom{ n-1 }{ i }x^{n-1-i}y^i $$
iをi-1に置き換えます。
\[
(x + y)^{n-1} \\
= \sum_{i-1=0}^{i-1=n-1} \binom{ n-1 }{ i-1 }x^{n-1-(i-1)}y^{i-1} \\
= \sum_{i=1}^{n} \binom{ n-1 }{ i-1 }x^{n-i}y^{i-1} \\
= \sum_{i=1}^{n} \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!}x^{n-i}y^{i-1}
\]
あとはxを(1-p)に、yをpに入れ替えると
$$ \{p+(1-p)\}^{n-1} = \sum_{i=1}^{n} \frac{(n-1)!}{(i-1)!(n-i)!}(1-p)^{n-i}p^{i-1} $$
証明終わり。

感想

動画を見てた時は「たぶんそうなるのだろう」みたいに軽く考えていたけど、実際に計算すると簡単には導けなくて困った。
こうやってちゃんと計算してみるとかなり理解が深まった。